2023.11.14 Tue
'87y S&S XLH1200 コンプレッションリリース加工。
先ずはダミーヘッドを使って段付きドリルを掘り下げる量を見極めます。ツインカムヘッドはもう何台も施工しているので問題無いのですが、今回エボリューションヘッドは初ですので念には念を入れます。

今回エボ用に加工したドリルを使って、基本となる穴を開けます。

エアブローして切り子を飛ばしたら、今度は専用治具をセットしたタップでネジを立てます。

で最後にロングシャンクの細いドリルを使って燃焼室まで貫通させます。

燃焼室側から見るとこの程度の小さな穴が開きます。エボ用ヘッドの場合、シリンダーフィン溝が深過ぎるので、コンプレッションリリースの位置をかなり掘り下げる必要がありました。その為ツインカムヘッドに比べると燃焼室までの”壁”が薄くなってしまう為、耐久性がどうなのかは使ってみないと分かりません。

内部加工を施した専用ソケットレンチでコンプレッションリリースを装着。リリース自体は色々なメーカーを使ってみた中で、最も耐久性に優れている”バルカンE/G”のオールステンレス製のものを使います。JIMS製は何度も壊れましたし、何より短いので押し辛い。


当店では5速エボXLでもっとコンプレッションが高く、カムのリフトも0.60を超えているSE StageⅣを組んでいますが、コンプレッションリリースは装着していません。ノーマルバッテリー+ノーマルスターターですが、それでも全く問題なく始動出来ます。
根本的に5速XLエンジンはスターター回りやクラッチバスケット、スターターリングギアなどがBTと同様になっているので強度的に問題が無いからです。4速XLの場合は基本的にはアイアンスポーツ時代を引き摺っており、構造が古くて強度が足りない、例えばスターターリングギアひとつとっても薄いので5速に比べると弱いです。
ですからスターターを強化して、加えてリチウムバッテリーで更に強化すると、掛け損なった際には簡単にリングは欠けます。
このエンジンを組むに当たって始動性の事は考えたのですが、組んで間も無い頃は普通に始動出来ておりましたからリリース加工はしなくても大丈夫だろうと踏んでました。しかしながら、ここは保険を掛けて”もう一手間掛けておくべきだった”とは今更ながら思います。
一番の原因はスターター取り付け穴の変形でギアが逃げていた事にあるのですが、それすら避けられなかったのかが悔やまれます。
これがもし自分の単車なら、コンプレッションリリースを装着したのならリングギアとクランクケース取付穴を保護する意味でも、スターターとバッテリーはノーマルに戻します。

続きます。
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